- 2006/07/09
- 大雪山の奥座敷といわれているトムラウシ山に行ってまいりました。扇沼山(おうぎぬまやま)から三川台(さんせんだい)経由で南沼キャンプ指定地まで、仮眠をいれて13時間の道のりは長く感じました。しかも、初日に登山口を出発したのは20時15分。霧雨の中を笹薮を掻き分けての登山道には閉口してしまいました。手袋もゴアの防寒具も、ぬれた笹薮のおかげで中まで水浸し。三川台で仮眠中は靴下が冷たくて眠れず。しかし、翌日の北沼の朝焼けは見事でした。朝焼けとともに、水面までが紅色にそまり美しい光景が広がりました。北沼といっても分かりづらいとおもいますが、トムラウシ山の直下にある沼のひとつです。大雪山らしく左右に幅長く広がる沼。撮影をしながら、ふとランドスケープ(風景)を写真をとおして見せる意味ってナンなんだろうと自問自答しておりました。風景写真の本質を考えていて、やっぱりこれは写真を通して自分がその場に身をおいているかのように錯覚できる(味わえる)、その錯覚を満喫できることなのではないかと考えました。森の中にみをおいたり、川のせせらぎに居合わせいていた時の自分って想像してみると、目の前に広がる風景を見た瞬間、瞬時にすべてを把握できる状況にあるわけがないですよね。目や耳や嗅覚などを研ぎ澄ませて、身近なパーツをひとつひとつ認識しながら、自分のおかれている場所を把握し、更にその周囲の状況を少しずつ時間をかけて把握していくのが一般的ではないでしょうか。そして、その過程そのものを楽しんでいくことが大事なのではないかと、シャッターを押しながら考えておりました。そう思うと、我々は日ごろ風景写真を見るときに、あまりにも即物的にその写真のよしあしや優劣をつけるのに当たり前になってしまっていて、じっくりと写真を味わうということに、ずいぶん遠ざかってしまったと思うのでありました。
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